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【募集・採用の基礎知識②】年齢制限や、一方の性を限定した求人募集が認められるケースとは?

出典:公益社団法人全国求人情報協会「募集・採用の基礎知識」

性別や年齢などにより仕事に適性があることのほうが企業にとって有益なはずです。
「この仕事は男性」「十分な経験があるけど年齢が…」「障害があるから」などの理由で、募集・採用に消極的になってしまうことはとても残念なことです。

雇用する場合は本人の適正・能力をよく見極め、それを最大に発揮できるように職場環境を整えることから考えてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.募集時の年齢制限は原則禁止
  2. 2.募集時の年齢制限は原則禁止
    1. 2.1.なぜ年齢制限が禁止されているのか?
    2. 2.2.例外として年齢制限が認められるケース
    3. 2.3.未成年者を募集する場合
    4. 2.4.新卒高校生の募集について
  3. 3.年齢制限を設けたい場合の注意点と正しい記載方法
    1. 3.1.求人票での具体的な書き方例
  4. 4.性別に関わらず均等な対応を
    1. 4.1.「男性のみ」「女性限定」と書けるケースはごく一部
    2. 4.2.性別を限定した表現を避けるための書き方例
    3. 4.3.採用見送りを伝える際の注意点
    4. 4.4.LGBTなど多様な人材への配慮
  5. 5.障がい者雇用のポイント
    1. 5.1.障害者雇用納付金制度
    2. 5.2.各種助成金制度
  6. 6.まとめ

募集時の年齢制限は原則禁止

募集時の年齢制限は原則禁止

労働施策綜合推進法(旧雇用対策法)により、募集時の年齢制限は原則禁止とされています。

例外的に年齢制限が認められる以下のケースの場合は、その理由を書面やメールにより示さなければなりません。

なぜ年齢制限が禁止されているのか?

年齢制限が禁止されている背景としては、

  • 雇用の機会均等:
    年齢を理由に門戸を閉ざすことなく、多様な人材がその能力を発揮できる社会を目指すため。
  • 高年齢者の活躍促進
    少子高齢化が進む日本において、意欲あるシニア層の就業機会を確保するため。

など、「能力や経験が同じであれば、年齢によって不当に機会が奪われるべきではない」という考え方があります。
ただし、例外的に年齢制限が認められるケースがあり、その記載にはいくつか条件があります。

例外として年齢制限が認められるケース

  1. 定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
  2. 労働基準法など法令の規定により年齢制限が設けられている場合
  3. 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者などを募集・採用する場合
  4. 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
  5. 芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
  6. 60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る。)の対象者に限定して募集・採用する場合

※1.3.4.の例外事由が適用されるためには、雇用期間の定めがないなど要件に該当することが必要となります。

未成年者を募集する場合

未成年者を雇用する場合は、原則として満15歳に達した日以降の最初の3月31日が終了している必要があります。高校生でも働けることになりますが、アルバイト禁止の学校もあるので、学業との両立に配慮してください。

なお、例外的に児童(満15歳に達した日以降最初の3月31日までの者)を雇う場合は、労働基準監督署の許可が必要となります。
未成年者と労働契約するときは、次の点に留意してください。

  1. 親権者または後見人が、未成年者に代わって労働契約を締結することは出来ません。(労働基準法第58条)
  2. 未成年者の賃金は必ず本人に支払わなければなりません(同法第59条)
  3. 年少者(満18歳未満の者)を雇う場合には、事業所に戸籍証明書(住民票記載事項証明書でよい)を、児童は戸籍証明書に加え学校長の証明書および親権者または後見人の同意を備え付ける必要があります(同法第57条)
  4. 年少者の労働時間は、1週40時間、1日8時間以内でなければなりません。原則、変形労働時間制やフレックスタイム制の禁止、時間外労働、深夜労働(午後10時~午前5時)および休日労働の禁止が定められています。(同法第32条、第60条、第61条)
  5. 年少者の危険有害業務、酒席に侍する業務などの就業は禁止されています(同法第62条)

新卒高校生の募集について

新卒高校生の募集は、卒業年の前年の7月1日以降求人票を各高校に送ることが出来ますが、以下の条件が定められています。

  1. ハローワークの確認を受けた求人票の募集

  2. 求人広告に所轄のハローワーク名・求人受付番号の記載

  3. 学校またはハローワークを通じて応募の受付を行う事

年齢制限を設けたい場合の注意点と正しい記載方法

募集時に年齢制限を設けたいと考える企業担当者は、
法律で定められた「例外事由」に該当するかどうかを厳密に判断する必要があります。

求人票での具体的な書き方例

例外事由に該当するとして、法律を遵守し求人に記載するには、
年齢を記載するだけでなく、必ず該当する「例外事由」と「その理由」を明記する必要があります。

※上記の「例外として年齢制限が認められるケース」の【1】〜【6】の例外事由に該当すると判断できる場合に限り、求人票へ年齢制限を記載することが可能です。

以下の書き方例は、例外事由を適切に示す場合の記載例となります。

NG例

  • 35歳までの方
  • 定年60歳まで
  • 20歳以上の方

OK例

  • 35歳未満(長期勤続によるキャリア形成を図るため/3号のイ)
  • 60歳未満(定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を募集するため/1号)
  • 20歳以上(労働基準法などの法令により、当該年齢以上の労働者を募集するため/2号)

長期キャリア形成を目的とした記載をする場合、上記の記載をしていても
「有期労働契約」「職務経験を追加で制限記載している」「下限年齢を設定している」など、
年齢制限が認められないケースもあります。

年齢制限を行って募集をする際は、記載内容に注意を払い法律違反にならないか確認を行いましょう。

性別に関わらず均等な対応を

「男性のみ」「女性限定」と書けるケースはごく一部

男女雇用機会均等法によって、性別を理由とする募集・採用、配置・昇進・降格・教育訓練、福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨・定年・解雇・労働契約の更新の雇用管理など、各ステージにおける差別を禁止しています。

よって、募集段階で性別を理由に応募を制限したり、選考対象から外すことは、男女雇用機会均等法違反となります。

ただし、以下のように「業務の性質上、やむを得ない場合」に限って、一方の性に限定した求人が認められるケースがあります。

  1. エステティシャン等の風紀上の理由により男性又は女性に限定するもの。または、ホステスなどの業務の性質上どちらか一方の性に従事させることが必要と認められるもの
  2. 守衛・警備員など、防犯上の理由によって男性のみに限定するもの
  3. 俳優、モデルなどの芸術・芸能分野において男性または女性に限定するもの
  4. 巫女等宗教上の理由によるものやスポーツにおける競技場の理由によって男性または女性に限定するもの

性別を限定した表現を避けるための書き方例

性別に関する表現は、募集段階だけでなく、選考段階でも慎重な対応が求められます。
次に、選考結果を伝える場面で注意すべき点を紹介します。

実務上、特定の性別を想定した表現は、意図せず差別的と誤解される恐れがあります。
求人票で「求める人物像」や「業務内容」を明確にすることで、性別による制限を避けることが可能です。

NG例

  • 男性歓迎!
  • 女性限定
  • セールスマン、営業マン、リフトマン など
  • 力仕事なので男性が望ましい
  • 事務職なので女性が活躍中

OK例

  • 体力を活かせる仕事です
  • 女性社員が多く活躍しています
  • セールススタッフ、営業スタッフ
  • 〇〇kg程度の荷物の持ち運びが可能な方
  • 細かい作業や気配りが得意な方が活躍中

性別に関する表現は、募集段階だけでなく選考段階でも慎重な対応が必要です。

採用見送りを伝える際の注意点

選考結果を伝える際も、男女雇用機会均等法に違反する可能性があるため
「性別」を理由に不採用とする説明は避けなければなりません。

あくまで

  • 職務内容との適合度
  • 経験・スキル
  • 勤務条件への適合性

など、客観的な基準に基づいた判断であることを丁寧に伝えることが重要です。

「他の候補者との比較結果」「業務経験とのマッチ度」など、
性別とは無関係の理由を丁寧に説明することで、トラブルを避けることにもつながります。

LGBTなど多様な人材への配慮

LGBT(女性同性愛者や男性同性愛者、両性愛者、性別違和を持つ方)といった
性的少数者に対する社会的認知が高まっており、男女雇用機会均等法などでも
差別対象としないよう定められています。

また、「ダイバーシティ経営」として多様な人材が活躍できる職場環境や仕組みづくりにより、
少子高齢化の中での人材確保や、多様化する市場ニーズやリスク対応力を高める経営を推進しています。経済産業省でも「新・ダイバーシティ経営企業100選」や「なでしこ銘柄」の選定により、
先進事例を広く発信するとともに、多様な人材の活用を経営戦略として取り込む方策を推進しています。

障がい者雇用のポイント

障がい者雇用には、事業主に対して一定の法定雇用率が定められています。

常用労働者が45.5人以上の一般企業は、「常用労働者の2.2%(法定雇用率)以上の障がい者を雇用すること」が義務付けられています。

また、雇用の分野における障がい者に対する差別禁止や合理的配慮の提供が義務付けられており、
雇用の際には本人の適正・能力をよく見極めること、そしてその能力を最大限に発揮できるように職場環境を整えることが重要となっています。

障がい者の募集・採用には小さな気遣いが必要です。
例えば、応募方法として電話応募だけでなく、FAXやメールなど、
受付方法を広く持つことで応募しやすくなります。

また、面接では応募者とよくコミュニケーションをとり、
お互いに「何ができるのか」「何ができないのか」をしっかりと確認する必要があります。

障害者雇用納付金制度

従業員100人超えで法定雇用率を下回っている場合、法定雇用障がい者数に不足する人数に応じて納付金を徴収されることになっています。

この納付金を財源に法定雇用率を上回る雇用主に「障害雇用調整金・報奨金・助成金」を支給するのがこの制度です。

各種助成金制度

障がい者の方が働きやすい環境・条件を整えるための具体的措置を講ずる雇用主に対する各種の支援・助成金制度があります。詳しくは高齢・障害・求職者雇用支援機構の都道府県支部にお問い合わせ下さい。

まとめ

募集計画は固定概念をなくして、誰もが活躍できる可能性を広げることが採用の成功につながります。
性別や年齢ではなく、個人の能力や適性によって仕事に就ける社会に向けて、募集・採用などにおける男女、年齢、障がいの有無による差別禁止の法制度が進んでいます。

現在はシニア層が活躍している場面が確実に増えています。
人不足が深刻化する中、求人広告の内容だけでなく、選考・採用基準に関しても固定概念での制限をなくし、出会いの機会を広くもちましょう。一人ひとりの適正・能力をよく見極め、それを最大に発揮できるように職場環境を整えることが採用力を高めるために重要なポイントになります。

まずは、求人票の表現や選考基準の見直しなど、すぐに変えられる部分から一歩ずつ取り組んでみてください。

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製造業・運送業・警備業を中心に人材不足に悩む1000社以上の企業へ採用コンサルを行ってきました。 ブルーカラー業界30年のノウハウをもとに、採用できる求人ノウハウをお教えします。

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