
【2025年版】運送業で外国人ドライバーを採用するには?課題・制度・成功のポイントを解説
運送業界は慢性的な人手不足に陥っており、実際にドライバーが集まらなくて頭を悩ませている採用担当者も多いのではないでしょうか。解決策の一つとして、外国人ドライバーの活用が注目されています。しかし、「ビザの取得が難しい」「社内の受け入れ体制に不安がある」など外国人の採用に不安を覚える運送会社も少なくありません。
本記事では「外国人採用に必要な制度や現場で起きやすい課題、その解決策までをわかりやすく解説します。スムーズに採用・定着させるための実践的なポイントをお届けします。
目次[非表示]
- 1.外国人ドライバーの需要がいま高まる理由は?
- 1.1.2024年問題による人手不足
- 1.2.ドライバーの高齢化
- 1.3.海外の技術を取り入れられる
- 1.4.多言語対応によるサービス向上
- 2.外国人ドライバーの採用でネックになりそうな問題は?
- 2.1.ビザの種類・在留資格のハードルが高い
- 2.2.運送品質の低下が起こる可能性
- 2.3.労働条件・待遇面でのトラブル
- 3.外国人ドライバー採用での問題を解決するには?
- 4.採用後に気をつけたい!現場での受け入れ体制と教育の工夫
- 4.1.言葉の壁を超える工夫
- 4.2.研修・OJTで意識すべきこと
- 5.外国人ドライバー採用は業界特化の求人サイトがオススメ!
- 6.まとめ:人手不足時代の新戦力として、外国人ドライバーを上手に採用しよう
外国人ドライバーの需要がいま高まる理由は?
近年、日本の運送業界では多くの企業が新たな人材確保に取り組んでいます。そんな中で、外国人ドライバーの活躍が期待されています。その理由をみていきましょう。
2024年問題による人手不足
2024年問題とは、トラックドライバーの時間外労働時間の上限が年960時間に制限されることにより発生する問題の総称です。
運送業界に外国人ドライバーの参入が期待される最大の理由は人手不足にあります。
国土交通省の資料によると、トラックドライバーなどの貨物自動車運転手の有効求人倍率は2024年(令和4年)9月で2.12倍となっており、この数字は1.20倍の全職業平均と比べて約2倍です。
求人は出ているものの応募者数がそれに追いつかない現状があります。この傾向は2018年(平成30年度)頃から続いており、全職業平均と比べて貨物自動車運転手の有効求人倍率は常に2倍ほどの数字で推移しています。
また賃金格差やイメージなどもあり女性が参入しづらい業界であることも影響していると考えられます。
2024年問題の背景や運送業界に与える影響については、以下の記事で詳細にお伝えしています。
https://saiyo.job-con.jp/blog/c140
ドライバーの高齢化
人手不足に加えて、ドライバーの高齢化も無視できません。
とくに主力層である40〜50代のドライバーは、今後10〜20年のうちに高齢者層へと移行していきます。
実際、道路貨物運送業における40〜54歳の割合は約45%で、全産業平均の同年代(約35%)と比べても非常に高い比率です。
一方で、65歳以上の割合は全産業平均より低く、まだ高齢者層が主力ではないことからも、今後一気に高齢化が進むことは確実と言えます。
若年層の採用が難しい現状を踏まえると、将来的な人材不足は避けられず、外国人材の活用は、持続可能な運送体制を築く上で欠かせない選択肢となってきています
海外の技術を取り入れられる
日本と海外では、運送に関する技術や業務の進め方に違いがあります。
たとえば、エコや安全面を考慮して以下のような取り組みをしています。
- AIを活用して配送ルートを最適化する
- ドローンや自動運転車を導入する
- 運転データ(急加速・急ブレーキなど)をリアルタイムでモニタリングする
こうした異なる知見を持つ外国人ドライバーが日本で働くことで、国内に新しい視点や手法がもたらされ、業界全体の効率化やサービス向上につながります。
多言語対応によるサービス向上
近年、グローバル化により外国人スタッフが倉庫・配送先に増えているだけでなく、荷主企業が海外とつながりを持つケースも増加しています。このような現場では、言語の違いによる意思疎通のトラブルや業務効率の低下が課題となっています。それを解決する手段として、多言語対応可能な外国人ドライバーの存在が注目されています。
物流業界において「多言語対応」は単なるプラスαではなく、現場の課題解決や業務品質の向上に直結する重要なポイントとなりつつあります。
外国人ドライバーの採用でネックになりそうな問題は?
外国人ドライバーの採用を積極的に検討している運送会社もあるのではないでしょうか。しかし、ここにはいくつかの課題があります。主なものを解説していきましょう。
ビザの種類・在留資格のハードルが高い
外国人が日本で働くためには適切な在留資格、特に就労ビザが必要です。しかし、在留資格の多くは就労に制限がかけられており、現時点で、トラックドライバーとして働ける・運送業に携われる就労ビザは存在していません。
つまり、外国人が運送業のドライバーになることを目的として日本に来ることは制度上不可能なのです。
ただし、日本に在留している外国人であれば、就労制限のない資格(永住者・定住者など)を持つ場合があり、こうした人材であれば、制度的な制約を受けることなく採用できるため、より現実的な選択肢といえるでしょう。
また、すでに在留中であれば、大型免許などの取得も可能です。
一方で、留学生の雇用には注意が必要です。免許の取得やアルバイト就労は可能でも、週28時間以内という就労制限があるため、長時間勤務が前提の運送業には適していません。
さらに、いつ帰国するか不明という点も、企業側にとってはリスクとなります。
運送品質の低下が起こる可能性
文化や価値観の違いから、運送品質のばらつきが発生する可能性があります。
たとえば、海外では荷物を玄関前に置いておくことが一般的であり、日本のような丁寧な取り扱いが標準ではないこともあります。
また、時間厳守の意識も日本と海外では異なります。配送時間が守られなければ、ドライバーを採用した企業に責任が求められます。
運送品質の低下はそのまま運送会社の損失となり、こうしたギャップが経営にも悪影響を及ぼしかねません。
労働条件・待遇面でのトラブル
外国人労働者と企業側の間で起きやすいのが、労働条件や業務内容に関する認識のズレです。
双方の認識のズレや制度理解の不足から生じることが多く、適切に対応しなければ、労使間の信頼関係に大きな影響を与えかねません。
たとえば、賃金や労働時間に関する認識の違いです。
母国と比べて賃金が高くても、日本の労働慣行(長時間労働や残業文化)についての十分な説明がなければ、「聞いていた条件と違う」と感じるケースがあります。特に、残業代の支払い方法や深夜労働の扱いについてトラブルになることがあります。
また、仕事内容・範囲に関する説明不足によるトラブルも考えられます。
「運転業務」として採用されたつもりが、実際には積み下ろしや倉庫内作業など付随業務が多かった、というケースがあります。外国人ドライバーにとって、想定外の業務が多いと不満や不信感につながるため、職務内容の明確化が必要です。
外国人ドライバー採用での問題を解決するには?
外国人をドライバーとして雇用する際に起こりうる問題の解決策を考えてみましょう。
先に手を打っておくことで、いざ外国人ドライバーを採用することになっても問題の発生を回避、あるいは最小限に抑えることができます。
「就労制限なし」の在留資格を持っているか確認する
在留資格は大きく3つに分類され、そのうち「身分・地位に基づく在留資格」に該当する外国人は、就労制限がありません。該当するのは以下の4つの立場です。
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
つまり、これらの資格を持つ人は日本人と同様に就労が可能であり、採用後すぐに即戦力として働いてもらうことができます。
とくに、永住者であれば10年以上継続して日本に在留しているため日本語能力が高く、中には中型・大型免許を含めた自動車免許を持っている人もいるでしょう。
そのような人材を確保できれば、採用後もスムーズに働いてもらうことができます。また、日本の文化や価値観にも慣れているため、運送品質の低下が起こる可能性も抑えられるでしょう。
必要な免許の取得・切り替えができるか確認する
外国人が運送業のドライバーとして働くには、日本の有効な運転免許を保有していることが前提となります。その取得方法は、在住地域によって異なります。
《海外在住の外国人の場合》
特定技能評価試験と日本語試験に合格し、日本に入国後の特定活動期間中(トラックドライバーは最長6か月)に外免切替を行う。
※上記は事前に海外で自動車運転免許を取得し、当該国に3か月以上滞在する必要あり
《日本に居住している外国人の場合》
特定技能評価試験と日本語試験に合格し、特定技能ビザへの切り替え申請をする前に、日本の自動車運転免許を取得しておく必要があります。
※注意事項※
・特定技能評価試験を受けるには、日本または外国で取得した有効な自動車運転免許の保有が必要です。
・特定活動期間中に免許が取得できなかった場合、「特定技能ビザへの移行・延長」はできません。
・すでに日本の普通免許を持っている場合、特定活動期間中に中型・大型免許を取得することはできません。(この期間はあくまで「普通免許取得」のために設けられているため)
採用後に気をつけたい!現場での受け入れ体制と教育の工夫
応募者の質に期待するだけではなく、運送会社側が外国人ドライバーを受け入れるための社内体制を整えておくことも重要です。
ドライバー志望の外国人が、必ずしも完璧に日本語をマスターし日本の道路事情に精通しているとは限りません。
日本語や業務への理解度には個人差があるため、現場で混乱が生じないよう、事前の準備と丁寧な教育が求められます。以下に、実践的な工夫と教育ポイントを紹介します。
言葉の壁を超える工夫
一般的な業務マニュアルは専門用語や難解な表現が多く、外国人には理解が難しいことがあります。そのため、「やさしい日本語」や資格的な補助資料を活用することで、理解度を大きく向上させることができます。
- 難しい漢字はひらがなに変える、あるいはルビをふる
- 文を短くし、1文1義で構成する
- 外来語や業界用語には注釈を入れる
例)「荷物をフォークリフトで搬入する」→「にもつを フォークリフトで はこびます」
このように簡潔でわかりやすい言葉に置き換えることで、外国人ドライバーが業務内容を正確に理解しやすくなります。
また、「イラスト付き手順書の導入」「多言語対応の教育動画」も効果的です。文字だけの説明では伝わりにくい作業内容も、イラストや写真、映像を使った手順書にすることで直感的に理解できるようになります。
- 手順ごとにイラストを並べることで、工程の流れを明示する
- 荷物の積み方、運転前の点検方法、危険行為の禁止事項などを視覚的に伝える
- 日本語が苦手な人でも、図を見ることで「何をすればいいか」をわかりやすくする
- 母語による説明動画により、意味を理解しやすくする
視覚資料は文化や言語の違いを超えて伝わるため、教育効果が高く、現場でのミスや事故の防止にもつながります。
研修・OJTで意識すべきこと
外国人ドライバーの教育では、日本人と同じ方法では通じない場面も少なくありません。文化や言語の違いを踏まえた丁寧で段階的な指導が重要です。
上記で説明した言葉の壁を超える工夫の他に、このような研修・OJTを行うと良いでしょう。
・一方通行にしない、確認をはさむ進行
重要なポイントごとに「理解しているか」を確認し、わからないことを気軽に聞ける雰囲気づくりが大切です。
・価値観や文化の違いに配慮する
時間厳守、安全意識、日本特有のマナーなど、単なる業務説明に加えて「日本での仕事の進め方」にも触れることが必要です。
外国人ドライバーに対する研修・OJTでは、「ゆっくり・丁寧に・繰り返し」という姿勢が基本です。理解度を確認しながら段階的に進めることで、本人の自信と安全意識の向上につながります。
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まとめ:人手不足時代の新戦力として、外国人ドライバーを上手に採用しよう
人手不足解消には外国人ドライバーが有力な選択肢です。もちろん、採用にあたっては制度の理解や、受け入れ体制を整えることが大切です。言葉や文化の違いをしっかりサポートすれば、職場になじみやすく、長く働いてくれるケースも多くあります。
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