
ドライバー・経営者の方必見!「物流業界の2024年問題」とは?問題を分かりやすく解説!
運送業の2024年問題とは?
2024年問題とは、トラックドライバーの時間外労働時間の上限が年960時間に制限されることにより発生する問題の総称です。
そもそもこの問題は、2019年4月から導入された「働き方改革関連法」が関わっています。
さまざまな業種でこの施策が行われていく中、ドライバー業などすぐに対応が厳しい一部の業種に関しては、施行まで5年間の猶予期間が設けられていました。そして、その期限が2024年4月に到来しました。
2024年問題の背景
長時間労働が常態化していたドライバー業界では、過剰な労働時間が安全性の低下や運転手の健康問題に影響を及ぼし、社会的にも問題視されてきました。
たとえば、下の図のように、ドライバーのうち約3割は1か月の拘束時間が275時間以上となっています。
(※)厚生労働省「自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果(概要)」をもとに編集部で作成
2025年4月より、1か月に働ける目安時間は以下の通りです。
拘束時間274時間(時間外労働を80時間行った場合)
《内訳》
法定労働時間…1週間40時間×4.3週=172時間
時間外労働…960時間(上限)÷12か月=80時間
休憩時間…1日1時間×22日=22時間
このような状況を改善するため、労働時間の上限規制が厳格化されることになりました。
働き方改革関連法が制定された経緯
日本は長年にわたり、労働時間の長さや過労死といった問題が社会的な課題となっていました。
労働者の健康や生活の質が損なわれることが懸念されており、労働環境の改善が求められてきました。
また、少子高齢化が進む中で、労働力人口の減少が予測されており、企業は限られた人材を有効に活用する必要があります。
特に、労働時間の上限規制は過労を防ぐための重要な施策として位置づけられ、企業に対して労働時間の管理を厳格化することが求められました。
労働時間の制限によって与えられる問題はさまざまです。
では実際にどのような影響が懸念されるのか、ドライバーと運送会社、そして荷主に分けてそれぞれ解説していきます。
目次[非表示]
- 1.運送業の2024年問題とは?
- 1.1.2024年問題の背景
- 1.2.働き方改革関連法が制定された経緯
- 2.運送業の2024年問題が運送業界に与える影響
- 2.1.ドライバーに与える影響
- 2.2.運送会社に与える影響
- 2.3.荷主に与える影響
- 2.3.1.運送料金の値上げ
- 2.3.2.出荷スケジュールやロットの見直し
- 3.2024年問題への対応
- 4.まとめ
運送業の2024年問題が運送業界に与える影響
ドライバーに与える影響
2024年問題がドライバーに与える影響は主に2つです。
- 収入の減少
- 離職の懸念
それぞれ、詳しくみていきましょう。
収入が減る
時間外労働が制限されることで、これまで時間外手当で収入を得ていたドライバーの収入が減少することが懸念されます。
年間960時間の時間外労働上限規制に違反した事業者には、懲役もしくは罰金が科せられることになっています。
そのため、時間外労働上限規制が開始されれば徹底して遵守する企業がほとんどとなり、結果的に収入源が避けられない状態になります。
離職を考える
生活費に影響が及ぶことで転職を考えるドライバーも増える可能性があります。
副業を認めている企業であれば本業以外の仕事を持つこともできます。しかし、体力的に難しいと感じるドライバーは多いのではないでしょうか。それよりも、労働時間が短縮されても稼げる同業他社か、もしくは異業種への転職を考えるほうが現実的といえます。
運送会社に与える影響
2024年問題が運送会社に与える影響は主に2つです。
- 売上と利益の減少
- 待遇の見直し
それぞれ、詳しくみていきましょう。
売上と利益の減少
ドライバーの労働時間が減少した場合、それに伴って扱える業務の量も減ります。そうなると、おのずと下がるのが企業全体の売上と利益です。
これまで可能だった時間帯の業務が難しくなるため、荷主への対応や運送フローの見直しも必要になるでしょう。
労働時間上限規制に違反した事業者は、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられることになっています。
そのため、違反してまで時間外労働をさせることは困難です。そのうえ、厚生労働省の資料には「将来的な一般則の適用について引き続き検討する」とも記されており、将来的に上限は720時間まで引き下げられる可能性もあります。
待遇の見直し
ドライバーに対しては時間外手当が減ることになります。コストを抑えられるという見方もできますが、それによって懸念されるのがドライバーの離職です。
ドライバーの離職を防ぐためには基本給の引き上げや新たな評価制度の導入など、給与や待遇の見直しを行い、働きやすい環境を整えることでドライバーの離職を防ぐ必要があります。
《一例》
・基本給UPや歩合給・評価給の検討
・デジタルツールの導入による業務の効率化
・健康経営による企業価値の向上
荷主に与える影響
2024年問題が荷主に与える影響もあります。
- 料金の値上げ
- 出荷スケジュールやロットの見直し
それぞれ、詳しくみていきましょう。
運送料金の値上げ
業務時間が減ることで運送会社の売上が下がれば、それを補うために料金を値上げする可能性も高くなります。そうなると、運送コストが上がる恐れが出てくるでしょう。
例えば、これまで送料を低めに設定していた通販会社などは、顧客に告知して送料を引き上げる事態にもつながるでしょう。
送料無料で対応していた場合は、会社の負担が増えて利益が下がることも懸念されます。
出荷スケジュールやロットの見直し
運送会社が規制に対応するために運送フローを効率化する場合、荷主側も出荷スケジュールやロットの見直しを余儀なくされることが考えられます。
これにより、自社従業員のシフト調整や業務体制の変更が必要になる可能性があります。
業種によっては、顧客対応のスケジュール変更や、新たな業務プロセスへの適応が求められるケースもあるでしょう。こうした調整には、事前の計画や社内外での十分な連携が重要です。顧客対応のスケジュール変更や、新たな業務プロセスへの適応が求められるケースもあるでしょう。こうした調整には、事前の計画や社内外での十分な連携が重要です。
2024年問題への対応
運送計画の効率化
「働き方改革関連法」による労働基準法改正などによって、ドライバーの時間外労働の上限は年960時間になります。
運送会社が2024年問題に対応するには、まず現状の労働状況を分析して問題の原因を見極めることです。
そのうえでITツールやデジタル技術などを活用した運送計画を効率化し、限られたリソースを最大限に活用することがポイントといえます。
また、現状の労働環境を分析し、問題点を特定することも重要です。
人材の確保
ドライバー不足を補う為に、採用活動を強化し、若年層や未経験者の採用を積極的に行うことも求められます。
さらに、パートタイムやアルバイトのドライバーを活用することで、柔軟な働き方を実現し、繁忙期における人手不足を解消することも効果的です。
物流の共同化
複数の運送業者との提携により運送手段の確保を行うことで、急な需要増加にも対応できる体制を整えることができます。
他社との物流の共同化を進めることで、共同配送や共同倉庫の利用を通じてコスト削減や環境負荷の軽減を図ります。
まとめ
2024年問題により、物流業界に及ぶ問題点をご紹介してきました。
新しい労働基準法施行により、ドライバーの過労や事故を減らす目的がありますが、業界は労働時間の削減や人手不足などの新たな課題と向き合う必要があります。
この課題を解決する為には、ドライバー・運送会社・荷主が協力し、効率化や待遇改善に取り組むことが大切です。
1人で悩まず、周囲と相談しながら解決策を見つけていくのはいかがでしょうか?