ドライバーの離職率はどのくらい?定着率UPのためにできること
運送業界は人手不足が慢性化していると言われており、ドライバー不足に陥っている運送会社も少なくありません。
その原因の1つが、若年層ドライバーの早期退職です。彼らなしで運送業界は成り立たないため、若年層ドライバーの早期退職をどうやって防止するかは、運送会社にとって解決が急がれる課題の1つです。
そこでこの記事では、離職率を低下させたい人事担当者が取り組むべき「定着率アップに効果的な施策」を紹介します。
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ドライバーの離職率の現状
運輸業では、離職率が入職率を上回る年が多くなっており、慢性的な人手不足という深刻な問題を抱えています。特に、若年層の離職者数が多い傾向にあります。
厚生労働省の統計の「学歴別の就職後3年以内離職率」によると、新規就業者(平成30年卒業者)の全産業における就職後3年以内離職率は、高卒が36.9%で大卒が31.2%です。
一方、運輸業における新規就業者(平成30年卒業者)の就職後3年以内離職率は、高卒が32.8%で大卒が25%です。そのため、運輸業の若年層による離職率が他産業と比較して高いわけではなく、むしろ低い傾向にあります。とはいえ、高卒で3人に1人、大卒で4人に1人が入社後3年以内に離職しており、若年層で多くの離職者が発生していることがわかります。
また、厚生労働省・国土交通省による「トラック運送業界の現状(平成27年)」によると、全産業平均と比較して、運輸業における若年層の就業者数は低い傾向にあるようです。このようなことから、若年層による離職の多さと新規就業者数の少なさが、運輸業界における慢性的な人手不足の要因であると考えられています。
定着率アップ!ドライバーの早期退職を防ぐには
ドライバーの早期退職の多くは、就職前に思い描いていた運輸業界へのイメージと、現実とのミスマッチによって起こります。主なミスマッチには「思っていたよりも重労働だった」「思っていたよりも労働時間が長かった」といった事例が挙げられます。
こういったミスマッチが起こるのは、多くの場合コミュニケーション不足が原因です。こういった原因を除去してミスマッチを未然に防ぐことで、ドライバーの定着率アップが期待できるようになります。主な防止法としては次の通りです。
まず、面接時や説明会の場で労働環境について丁寧に説明することで、ほとんどのミスマッチは防止できます。また、1日体験入社制度を設けて、実際の労働環境を体感してもらうことも有効策の1つです。その他にも、入社後の先輩ドライバーや人事担当者などによる教育・研修制度を導入するといった方法もあります。
ドライバーの離職率改善におすすめの施策
ドライバーの離職率は、施策によって改善が可能です。本項目では、離職率改善が期待できるおすすめの施策を紹介します。
1.人事評価を見直す
ドライバーの離職率を低減させる目的で人事評価を見直す場合、主に次の施策が効果的です。まず、評価の判断基準を明確にします。大切なのは、現場が理解しやすい人事評価制度の構築です。たとえば、安全への取り組み・事故率・指示事項の遵守・運転マナーなどを主な基準にして評価します。
次に、評価項目をなるべく具体的に設定します。安全への取り組みや運転マナーの具体例などを示すことで、仕事に対する姿勢の改善やモチベーションのアップが期待できます。また、ドライバーを統率するマネージャーの評価基準には、社員の定着率や採用目標達成率を項目に加えることも重要です。
2.職場のコミュニケーションを改善する
ドライバーの離職率が高めの運送会社では、コミュニケーションが不足気味になりがちです。そのため、離職率を低減させるには、上司と部下または同僚や部署間のコミュニケーションの改善が必要です。コミュニケーションが改善されて信頼関係が構築されることで、自然とチーム力が強まり、その結果として生産性のアップも目指せるようになります。
また、コミュニケーションをしっかりとることで退職しそうな社員を事前に把握できるため、そういった社員をフォローして早期退職を未然に防止することが可能になります。
3.従業員満足度を向上させる
従業員満足度が低い運送会社では、ドライバーの離職率が高い傾向が見られます。従業員満足度の向上で重要になるのは、主に給与・労働時間・休日・福利厚生の改善です。
給与は最もわかりやすい要素のため、できる限りアップさせることが大切です。若年層や女性ドライバーの中には、労働時間を重視する者も少なくありません。そのため、労働時間をなるべく削減したり、国の規定以上の休憩時間を確保したりすることが必要になります。
また、仕事の性質上不安定になりがちな休日に関しては、できるだけ社員の要望が通りやすい環境づくりが必要です。福利厚生では、各種社会保険はもちろん、ヘルスケアや資産形成のサポート、余暇活動の積極推進なども重要です。
これらポイントに加えて、若年層のドライバーは自身のキャリアアップを重視しながら働く傾向があります。そのため、彼らを含めたドライバーが望む労働環境を聞き取ることで、実際的な施策の採択が期待できるようになります。
ドライバーの離職率改善のためにできることを考えてみよう!
運送会社にとって、ドライバー歴の長い中高年層ドライバーは貴重な戦力です。ただ、将来のことを考えれば、若年層ドライバーの確保も重要になります。
いずれにしても、働きやすい労働環境を実現して、ドライバーの離職率を低減させることが大切です。そのためには、この記事で挙げた施策だけでなく、ドライバーの離職率改善のためにできることを考え続けることが必要です。