
トラックドライバーの高齢化が深刻!企業が取るべき対策とは
運送業界の人手不足は年々深刻化しています。
その大きな原因としてあげられているのが、トラックドライバーの高齢化です。
この記事では、長年業界を支えてきたトラックドライバーの高齢化の現状や、ドライバーが不足しているさまざまな原因について触れ、企業が取るべき対策について説明していきます。
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ドライバー不足の主な原因?トラックドライバーの高齢化について
高齢化社会が進む日本において、運送業界は主な労働力を高齢者に頼っているという実態があります。
総務局がまとめた2021年「労働力調査」によると、15歳以上の人口のうち就業者と完全失業者を足した労働力人口は、15~24歳が583万人、25~34歳が1291万人なのに対し、55~64歳は1203万人、65歳以上は929万人であり、55歳以上の高齢者が34歳までの若年層を上回るという結果になっています。
中でも注目すべきは10年間の労働力人口の増加数です。15~24歳では2011年の525万人から2021年の583万人と48万人増加しているのに対し、65歳以上では2011年の584万人から2021年には929万人と345万人も増加していることが調査から読み取れます。
ちなみに労働力人口に占める割合で最も多いのは45~54歳の1650万人であることから、高齢者の労働力人口は今後も増え続けることが予測できます。
こうした状況の中にあって運送業界の高齢化も例外ではありません。2020年「労働力調査」によると、道路貨物運送業に従事する人のうち40~50代前半が44%なのに対し、29歳以下の割合は10%でした。対して、60代以上は16%を占めています。
また、物流コンサルティングの「船井総研ロジ」、求荷求車サービスの「トラボックス」、物流全般に関する専門新聞「物流ウィークリー」のメルマガ読者を対象に、年齢構成のうち最も多くを占めている年齢層について聞いたアンケートでは、40代と答えた会社が最も多い47.5%で、50代が41.3%と続きました。つまり、運送、物流業界では、40代と50代が中心になっている企業が全体の9割近くを占めていることが推測できます。
現時点でも60歳以上の高齢ドライバーが多く働いていますが、10年後、20年後にはさらに高齢化が加速していくことが数字から見て取れます。
運送業界は、現在働いているトラックドライバーの離職を防ぎ定着をはかると共に、高齢ドライバーを体力面、健康面からケアして戦力として働き続けてもらうための取り組みに迫られています。
高齢化だけではない!トラックドライバーが不足する原因
トラックドライバーが不足している原因の1つに高齢化の問題があるのは確かです。一方で、トラックドライバーの賃金の安さや労働環境、待遇の厳しさも大きな問題となっています。
この段落では、トラックドライバーが不足する主な2つの原因について説明します。
1.賃金が安い
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」から2019年の年間所得額を産業別に見てみると、全産業の平均が501万円なのに対し、道路貨物運送業は433万円となっており、全産業平均より約14%も安いことが分かります。この一因となったのは、1990年に制定された「物流二法」です。
物流業界への新規参入を促すために制定された「貨物自動車運送事業法」「貨物運送取扱事業法(「貨物利用運送事業法」)」のことで、この法律によって規制が緩和された結果、運送業者の数は約4万社から2011年には6万3000社まで増加しました。
熾烈な価格競争が置きた結果、低価格化が進み、トラックドライバーの給料も下がっていったと考えられます。
2.仕事が厳しい
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、トラックドライバーの年間労働時間は長く、2016年には全産業平均が2124時間だったのに対し、大型トラック運転者が2604時間、中小型トラック運転者は2484時間です。1カ月平均では全産業平均が177時間、大型トラック運転者が217時間、中小型トラック運転者は207時間ということになります。
2019年4月から(中小企業では2020年4月から)実施されている「年間時間外労働の上限規制」によると、残業時間の上限は原則として月45時間、年360時間以内となっており、月160時間(1日8時間、週40時間)の法定労働時間と合わせると、1カ月の労働時間は205時間におさめる必要があります(例外あり)。2019年に規制が始まる前とはいえ、トラックドライバーの労働時間の長さがよく分かるデータです。
トラックドライバーは荷物を運搬するだけでなく、荷待ちや積み込み作業のために待機する時間も多く、労働時間が長くなりがちです。しかし、今のように労働時間が長く仕事がハードになった理由には、「物流二法」が関係しているといえるでしょう。
急増した競合他社との差別化を図るために契約にない付帯業務をサービスでつけることが常態化。無償でサービス業務を行うことが当たり前になり、トラックドライバーの労働時間は延びていったと考えられます。以前は「仕事がハードで時間の拘束がある代わりに賃金が高い」というイメージがあったトラックドライバーですが、「労働時間が長く賃金も安い」のが現状です。
3.企業はどうしたらいい?トラックドライバー不足を改善する方法
人手不足を解消するには、高齢化への対策と賃金の向上、労働環境の改善に取り組む必要があります。増加する高齢ドライバーが安心して働けるように、加齢による健康問題への配慮や、安全運転への取り組みを行いましょう。
また、トラックドライバーは圧倒的に男性が多く、女性は全体の約3%です。女性の採用に力を入れることで、男性や高齢者への偏りを改善することが可能になります。
労働時間の短縮については、運送事業者だけでなく荷主企業にも協力を求めて行わなければなりません。トラックドライバーが長時間労働になりやすい理由として、荷待ちや荷役作業の効率が悪いこともあげられるからです。
モチベーションが上がるような査定制度を設けたり、賃金制度を明確に提示したりすることも、魅力的な業界を作るために重要になってきます。
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ドライバー業界の主力となっているのは、高齢ドライバー予備軍ともいえる40代、50代です。若い世代が少ないことから、今後も人手不足や高齢化は進んでいくと予想されます。
意欲や経験があるドライバーを確保するためには、労働環境や賃金体系の改善と同時に、採用活動に力を入れることが大切です。求人媒体選びで迷ったときには、トラックドライバーに特化した求人サイト「ジョブコンプラスD」を利用するとよいでしょう。