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【募集・採用の基礎知識⑩】男女雇用機会均等法

出典:公益社団法人全国求人情報協会「募集・採用の基礎知識」

男性だけでなく、社会で活躍している女性はたくさんいます。差別なく均等に誰もが活躍できるよう、良好な環境を整える企業も多く、法律で制定されている事項なども多くあります。

両性がその能力を十分発揮するために大切なことを知っておきましょう。


目次[非表示]

  1. 1.男女雇用機会均等法
    1. 1.1.性別を理由とする差別
    2. 1.2.不利益取り扱いの禁止
  2. 2.ポジティブ・アクション
    1. 2.1.母性健康管理措置
    2. 2.2.セクシュアルハラスメント対策
  3. 3.募集名称の注意点や就業制限
    1. 3.1.女性労働者の就業制限
  4. 4.まとめ

男女雇用機会均等法

職場で働く男女が性別による差別を受けたり、妊娠などを理由に不利益な取り扱いをされたりすることを禁止し、その能力を十分に発揮することができる雇用環境を整備するための法律が「男女雇用機会均等法」です。

性別を理由とする差別

・募集、採用

・配置、昇進、降格、教育訓練

・福利厚生

・職種、雇用形態の変更

・退職推奨、定年、解雇、労働契約の更新について

これらは性別を理由とした差別を禁止しています。

不利益取り扱いの禁止

・婚姻・妊娠・出産

・産前産後休業の取得

・育児時間の取得

・軽易作業への転換請求や時間外労働をしないことの請求

これらの請求をするなどした女性労働者に対し、解雇や雇止め、降格・減給・不利益などの評価や労働契約内容の変更などを強要してはいけません。

ポジティブ・アクション

男女間に事実上生じている格差を解消するため、雇用主が行う自主的かつ積極的な取り組みをポジティブ・アクションといいます。

女性比率が4割を上回っているなど、一定の条件を満たせば国の援助を受けることも出来ます。

母性健康管理措置

雇用する側は、妊産婦が保健指導や健康診査を受けるために必要な時間を確保するとともに、その際の保健指導や健康診査に基づく指導事項を守れるようにするための措置を講ずることが義務となっています。(時差出勤、休憩回数の増加、勤務時間の短縮、休業等)

これらの措置を講じない、是正勧告にも応じない雇用主は、企業名公表の対象になる(均等法第30条)とともに、紛争が生じた場合、調停など個別紛争解決援助の申し出を行うことができるようになりました。

セクシュアルハラスメント対策

職場におけるセクシュアルハラスメント(同性に対するものも含む)は、性的な行動や言葉によって、労働者が傷つき、職場環境が害されてしまいます。

募集名称の注意点や就業制限

どちらかの性に限定される名称での募集などは原則禁止されており、求人掲載の際に改善する必要があります。

▼男性名称、または女性名称が職種に含まれている

・営業マン ⇒ 営業マン(男女)

・ウェイター ⇒ ウェイター・ウェイトレス

・カメラマン ⇒ カメラマン(男女)・撮影スタッフ

・生保レディ ⇒ 生保営業職

・保母 ⇒ 保育士

▼大卒男性10名、女性5名など男女別の採用予定人数を明示 ⇒大卒男女15名

▼男性・女性のみを対象とした記載

・男性幹部職員、女性秘書 ⇒ 幹部職員、秘書

・トイレ清掃員(女性) ⇒ トイレ清掃員

※その他、男女で応募できる年齢上限を変えたり、女性のみ「未婚」や「子供がいないこと」など異なる条件を設ける、別の採用試験を行う、などのことも禁止されています。

ただし、「俳優などの芸術・芸能分野(男女)」「守衛・警備員などの防犯上の要請によるもの(男性)」「その他宗教上、スポーツにおける競技上の理由によるもの(男女)」「エステティシャンなどの風紀上のもの(男女)」「ホスト・ホステス」など、業務の性質上どちらか一方の性のみ募集・採用できる事例もあります。

女性労働者の就業制限

【坑内労働の禁止(労働基準法第64条の2)】

妊娠中や産後1年を経過しておらず行内業務に従事しない旨を申し出た人は労働させることが出来ません。また、満18歳以上の女性は全て人力による掘削や厚生労働省令で定める女性に有害な業務に就かせることができません。

【危険有害業務の禁止(労働基準法第64の3)】

妊娠中や産後1年を経過しない女性を、重量物を取り扱う業務、有毒ガスを発散する業務などで労働させてはいけません。

【産前産後休業(労働基準法第65条1項・2項)】

原則として、産前6週間以内に出産予定の女性が休業を請求した場合および産後8週間(医師が支障なしと認めた場合で本人が就業を希望する場合は6週間)は、就業させてはいけません。※労働基準法では、出産は妊娠4ヵ月以上の分娩とし、死産も含むとしています。

【労働時間の制限(労働基準法第66条)】

妊産婦から請求があった時は、時間外労働、休日労働、深夜労働をさせることはできません。また、妊産婦から請求があったときはフレックスタイム制以外の変形労働制を適用することはできません。

【育児時間(労働基準法第67条)】

生後1年未満の子を育てている女性労働者は、1日2回、少なくともそれぞれ30分の育児時間を請求することができます。雇用主は、育児時間中はその女性を使用することはできません。

【生理休暇(労働基準法第68条)】

生理日の就業が著しく困難な女性労働者が休暇を申請した場合、就業させることはできません。また、生理休暇の日数は必要な日数を与えなければなりません。

まとめ

原則として、男女の違いで採用・雇用条件を変更することは禁止されています。男性も女性もそれぞれの良さを生かして活躍しているこの社会で、応募表記や業務の中で労働基準法に違反しないように気をつけましょう。

また、産前産後の妊産婦の就業条件には細かく法律で決められていることもあります。今回記した6項だけでなく、どのような法律が制定されているのかしっかりと把握しておきましょう。

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