
【データで見る】製造業の高齢化はどこまで進む?2030年の予測・影響・企業の対策を徹底解説
製造業は慢性的な人手不足が懸念されています。その中で、さらに課題となっているのが労働者の高齢化です。しかし、実際にはどれくらい高齢化は進んでいるのでしょうか。
そこで、この記事では、製造業における高齢化の実態と高齢化の理由、さらに考えられる影響や対策について紹介していきます。
高齢化の波は止めることはできません。本記事を参考に適切な解決策を講じていくことが大切です。
目次[非表示]
製造業の高齢化はどれだけ進んでいるのか
製造業の平均年齢とシニア就業率の推移(最新データ)
高齢化が進む製造業界ですが、実際の平均年齢はどのくらいなのでしょうか?
製造業の就業者の平均年齢は2023年時点で約44.6歳(厚生労働省「労働力調査」)。1990年代から20年以上かけて約5歳上昇し、60歳以上の割合も約18%に達しています。
経済産業省「ものづくり白書」では、高齢就業者(65歳以上)の就業者割合が2002年の4.7%から2022年で8.6%と長期的に上昇しており、2024年には8.4%とさらに割合が高くなっています。
2018年以降は横ばい傾向にあるものの、全体として高齢化の進行は確実で、今後も製造業でシニア就業者の割合が高い状態が続くと予測されています。
製造業の高齢化が進んでいる理由
製造業で高齢化が進んでいる理由は主に3つです。ここでは、その3つの理由を解説していきます。
全国的な高齢化による労働人口の減少
まず1つめの理由としてあげられるのは、日本全体で高齢化が進んでいることです。
内閣府がまとめた「令和7年版高齢社会白書」の「高齢化の現状と将来像」を見ていくと、65歳以上の総人口は2024年で3624万人います。これは、日本の人口の29.3%にのぼる数字です。
いったいどれくらい高齢者が増加しているのかわかりやすくするために、古いデータと比べてみましょう。
1950年には人口全体の5%未満でしたが、1970年代には7%を超え、1994年には14%を超えています。
こうして見ると、日本の高齢化は年々スピードを増していると考えることができます。そのうえ少子化も進んでいるということで、高齢化を食い止めるにはこの先どれくらいの年数を要するのか予測が難しい状態です。
若い労働力の確保が難しい背景
製造業については「キツい」「汚い」「危険」といったネガティブなイメージがあります。それに加え、現代では就職の選択肢にも変化が出ていることも製造業の高齢化を進める要因となっています。
朝日新聞が就活について調査したデータによると、2次産業である製造業の1984年から2014年にかけての就業数は2万7464人のマイナスです。ところが、同じ時期でも3次産業は13万3730人も就業数がプラスに転じています。製造業を含めた2次産業は年々就業数が減少傾向にあるのに対し、3次産業の増加率は年々高まっているのが現状です。
この調査は、学生を対象に行われたもので、製造業において若い労働力を確保するのが難しくなっていることを裏付けています。
中小製造業の労働環境・待遇の課題
3つめの理由として、中小企業における労働環境や待遇面の課題があります。
製造業は「休みにくい」「昇給しづらい」「キャリアが見えにくい」といったイメージを持たれることが多く、若手が敬遠する要因のひとつになっています。
また、大企業と比べて研修・教育制度が整っていないケースもあり、「経験者を採用したいが来てくれない」「若手が定着しない」というループが高齢化を加速させています。

製造業の高齢化がもたらす影響とリスク
生産性の低下と技能伝承の断絶
製造業でこのまま高齢化が進んでいけば、若手育成に力を注げないという問題が出てくるでしょう。これまで培ってきた知識や技術を引き継ぐ次の世代が不足するうえに、本来は新入社員がやるべき業務をいつまでたっても中堅社員が対応しなければなりません。
また、技能や知識が次世代に十分引き継がれず、現場のノウハウが失われるおそれがあります。
若手育成の遅れによる組織の硬直化
こういった状況を改善できないと「人材育成・能力開発が進まない」という影響が出るのは必至です。組織全体の生産性や品質維持に影響を及ぼす可能性があります。
単に人材育成ができないというだけではなく、会社の存続も危ぶまれる可能性も出てきます。さらに、日本の技術の衰退へとつながることも危惧しておく必要があります。
労災・安全リスクの増大
加齢に伴い、視力・聴力・反射神経などの身体機能が低下する傾向があります。
そのため、転倒・つまずき・挟まれといった事故のリスクが高まりやすくなります。
厚生労働省「労働災害統計」によると、
製造業では60歳以上の労災発生率が上昇傾向にあり、特に転倒・墜落・挟まれ事故の割合が高いと報告されています。
つまり、高齢化=労災のリスク増加は統計的にも裏付けがあると言えます。
製造業の高齢化を食い止めるための企業の取り組み・対策事例
では、製造業の高齢化問題に対応するにはどのようにすればいいのでしょうか。
ここでは、可能な対策について紹介していきます。
AI・IoTの導入による業務効率化と技術継承
製造業の中には、熟練した技術や経験を必要とする工程も多く存在します。
しかし、若い労働力の確保が難しい中で、AIやIoTを活用して技術や作業を標準化する取り組みも可能です。これにより、これまでベテラン社員に頼っていた業務をデータ化・マニュアル化でき、
入社したばかりの若手でもスムーズに作業を引き継ぐことができるようになります。
そうすれば、人材不足が進んでも業務を継承することが可能になります。人手をともなう業務も一部任せることができ、人手不足の緩和が期待できます。
これは、製造業におけるすべての業務をAIやIoTに頼るということではありません。必要に応じて可能な部分をAIやIoTで補うということです。
外国人・女性の活躍推進で人手不足を補う
これまでとは違う層を採用のターゲットにするのも、有効な高齢化対策の一つです。
製造業といえば、これまでは男性というイメージが強い傾向がありました。しかし、女性雇用を検討していくのも前向きな対策です。細かい作業でも、女性は丁寧に取り組む傾向があります。もちろん、男性も細かい作業を得意とする人はいますが、女性にも採用の幅を拡大すればさらに業務の可能性が広がるでしょう。
また、労働意欲の高い外国人の雇用を検討するのもいいかもしれません。言語や習慣の問題などが出てきますが、クリアできる人材であれば製造業の人手不足対策になります。
ただし、外国人労働者の雇用はさまざまな条件と責任がともないます。日本で暮らすために必要な環境を整えるのも、原則として雇用者です。帰国までサポートすることが求められますし、しっかり対応できるかどうか慎重に考えて判断する必要があります。
ただし、適切なサポート体制を整えることができれば、外国人材は長期的な戦力となり、現場の多様性向上にもつながります。
企業の取り組み事例紹介(例:トヨタ九州・DMG森精機など)
たとえば、トヨタ自動車九州では、熟練作業員の“経験”や“判断”をデジタル技術で可視化する取り組みを進めています。
AIによる異音検査を活用し、検査工程の属人化を解消し、品質の安定化を実現。これにより、検査精度が均一化され、作業者の耳や身体への負担軽減にもつながっています。
こうした仕組みによって、「人にしかできない判断力」を活かしつつ、技術の継承を効率化しています。
出典:日経クロステック(2021年11月4日)『トヨタ九州、「レクサス」完成車の車内異音検査でAIシステム本稼働』https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/11585/
また、DMG森精機では、最新のIoT技術を用いた「デジタルツイン工場」を構築。
熟練工の加工ノウハウをデータ化し、シミュレーション上で再現することで、技能の標準化・教育の効率化を進めています。
経験に依存していた部分をデータで共有することで、属人化の解消にもつなげています。
出典:経済産業省『ものづくり白書(令和5年版)』第1部第5章第2節(2023年)https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2023/pdf/honbun_1_5_2.pdf

国や自治体による支援・助成制度
企業単位だけでなく、国や自治体での支援もあります。今回は地域での支援制度をご紹介します。
地域雇用活性化支援プログラム
厚生労働省が実施する「地域雇用活性化推進事業」は、人口減少や高齢化が進む地域を対象に、企業の人材確保や産業振興を支援する取り組みです。
自治体や商工団体、地元企業などが連携し、地域の雇用を支える仕組みづくりを進めています。
令和7年度(2025年度)の事業では、
DXを活用した働き方改革
多様な人材
地域資源を活かした次世代産業
企業における人材育成・定着支援
といったテーマに重点が置かれています。
製造業においても、熟練人材の再雇用や若手との協働体制づくり、
地域全体で技能を次世代へ継承する取り組みなどが支援対象に含まれます。
人材確保と地域経済の活性化を同時に進めるための制度として、今後さらに注目が高まるでしょう。
出典:厚生労働省「地域雇用活性化推進事業(令和6年度版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11606500/001548842.pdf
製造業の高齢化課題を先回りして備える
さまざまな要因を考えてみても、製造業における高齢化をただちに防ぐことはできません。本記事で説明したように、できるだけ先回りして対策を打っていくことが大切です。
中長期の人材戦略を立てるポイント
製造業の高齢化は、短期的な採用施策だけで解決できる問題ではありません。
5年後・10年後の生産体制を見据え、中長期的な人材戦略を立てることが重要です。
まず、自社の年齢構成や退職予定年齢などをもとに、
「どの職種・工程で人材が不足しそうか」を明確にします。
その上で、必要なスキルや経験を整理し、採用・教育・配置転換・再雇用を一体的に計画します。
また、AI・IoT導入や自動化により、人の手に頼らない部分を増やすことも効果的です。
人材を「補う」だけでなく、「強みを活かす」方向に設計することで、無理のない持続的な人材確保が可能になります。
若手採用・育成を両立する仕組みづくり
若手人材の確保と育成は、製造業の未来を支える最重要テーマです。
単に採用人数を増やすだけでなく、「定着し、成長できる環境」を整えることが欠かせません。
具体的には、
ベテラン社員とのOJT体制の強化(ペア制度やメンター制度)
技能伝承を可視化するデジタルツールの活用
キャリアアップを見据えた教育プランの明示(等級制度・スキル評価基準)
などが効果的です。
高齢化への対応は、裏を返せば「次世代を育てる好機」です。
ベテランの経験と若手の新しい発想を掛け合わせることで、企業全体の競争力を高めることができます。
また、高齢化対策と若手採用を同時に進めるには、外部パートナーを活用する方法もあります。特に製造業に強い求人メディアや採用支援サービスを使うことで、採用スピードの向上やミスマッチ防止につながります。
なかなか対策を進められないときは、製造業の求人に特化しているジョブコンプラスに相談するという方法も検討してください。
製造業の人手不足を解消するための手段として有効な対策が期待できます。まずは資料請求をしてみましょう。
製造業の人手不足や若手採用の具体的な取り組みについては、別記事「製造業の人手不足を解決する3つの方法」で詳しく紹介しています。
製造業 人手不足 https://saiyo.job-con.jp/blog/c165
ブルーカラー 人手不足 https://saiyo.job-con.jp/blog/c58
製造業 採用単価 https://saiyo.job-con.jp/blog/c142
求人サイト 製造業https://saiyo.job-con.jp/blog/c104






